Review vol.2
映画はひとりで観たいので
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八日目の蝉

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八日目の蝉 言わずとしれていたりするんでしょう第35回アカデミー賞最優秀作品賞受賞の「八日目の蝉」を観ましたの。
毎度の事ながら原作なんて読んでないし、話題をあまり真剣に受信していなかったのでもっとサスペンス染みた作品かと思ってました(小池栄子出てるし...)。けど全然違うのね、なんていうか消化不良系ザックリ感傷ストーリーでしたの。
※感傷の程度にはお育ちによる個人差がございます。

ストーリーは、サイドAが「保護されたその後の(そして現在の)エリナ」で、サイドBが「エリナが誘拐されるに至った経緯から保護されるまで」。AB両方同時進行でといった具合に展開します。
サイドBのエリナさん(カオルちゃん)は本人主観ではないですので、サイドAのエリナさん的には(今では)知るよしもないんですよ、ってとこから現実が過去に向かって進んでゆきます。

私も正直3〜4歳くらいの記憶がほぼ無くて、その頃の記憶のほとんどは写真+当時大人だった人たちの解説で知った気になることが殆ど(幼稚園の紫陽花をもいで先生にプレゼントしたら先生に怒られた、とか、幼稚園の避難訓練で子供用避難滑り台を滑れず先生と大人用避難階段を下りたことなど、私歴一桁代のトラウマはしょーもない記憶としてちゃんと覚えているが)なのでエリナさんの言い分はハイハイハイハイ、と理解できる。

閑話休題、エリナさんの記憶力は私よりマシな様で、時にはA面とB面がピタっとひっつく事もあるのです。思い出し由来が私と同じ理由の場合もあればヒントからのサルベージもあり。
そして現在のエリナさんは実の親に対して「無理して親振らなくてもいいよ。」とおっしゃるほどに中二をこじらせており。
とにかく誰もハッピーじゃないのです。ハッピーエンドを迎えないまま今に至るのです。

サイドBの終の地、香川県小豆島での親子の有様がガンガン来ますね、心臓がヘコヘコですよヘッコヘコ。
この親子、小豆島に好く馴染むんです。それはもう幸せそうに。
訳あり親子をつるりと受け入れてくれた人達、郷土厨お馴染みの虫送り、親子の時間。続々と過去に在るハッピー。
派手さは無いけど一見酷く真っ当な幸せ。
予感はしていたけれど訪れるリミット。
─そして時は動き出す©Dio

八日目の蝉 最後の最後に偽母から繰り出された「母性パンチ」も相当ですが、写真館での件が悲しすぎる。

「過去のどこかに幸せが在り、今がまだ終わっていないならばそれでいいじゃない。」と鞘を納めるのが正解でしょうか。
私、自分の味方にはドライになれないなぁ。面識のない他人のことは結構どうでもいいですし面識在ってもどうでもいいひとも相当居ますし。奥歯にいろいろな物を詰めてみました。

八日目の蝉 誰も幸せではないとは、いかにも客観の台詞なのでしょうね。
ともあれ私は(何度か申し上げているとおり)母子ものの話にはめっぽう弱いのです。嫌〜な話なのだけれど、まんまと抉られたので星4つ。
満点ってホシいくつなんでしょう。
みあげてごらん夜の星を、答えはそこに在る。

八日目の蝉 八日目の蝉
★★★★☆
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2時間28分 / 2011