「猫語の教科書」からポールギャリコが捗っています。
複雑なことは言わない語り口が読みやすい。
最初は「猫vs人」あるいは「親vs子ども」っていう構図の話かと思いましたが、最終的に感じたことは「大人vs子ども」の構図でしょうか。「流動的であるべき者vsまだ絶対的で居られる者」とか。後者の表現だと伝わらなさとクドさがすごい。
このversusは日本語的な意味だと解釈されがちな「戦い」の意図はなくて、「○○に対する××」っていうそのまんまの意味です。
子どもであるメアリ・ルーとその友達
親であり大人であり厭なやつでもある獣医マクデューイ
子どものようだけど自立した、かといって大人とも感じないローリ
そして猫 is God。(比喩ではない)
猫 is godでしたね、まさに。
渦中の登場人(猫)物でもありストーリーテラーでもある猫。
楳図かずおでいうとおろちみたいな。(ずいぶん頼りないおろちだな...。)
ポールギャリコの猫タイトルの中では、猫要素が少なめなお話でした。絶対に必要な存在だけど「猫の話」ではない。
こういうテーマの話を読むと「僕はおじさん子どもだな...」と実感します。
臨機応変なこなれた大人にはなりきれていないような。ゴニョ。
トマシーナ(創元推理文庫) / ポール・ギャリコ
★★★☆☆
主役はおじさん